THE MONEY
value of silence 

from Down the Road of Life series


本来、労働の尺度、物の等価交換から始まったお金は何時から金融派生商品として売買されるようになったのだろうか?
21世紀初頭、リーマンブラザーズ倒産が象徴するアメリカの不動産バブルの破綻は大規模な信用収縮を起こし、深刻な金融危機を今の世界に及ぼしている。
多くの人々が仕事を失い、家を失い、そして希望さえ失ないつつある。
その一方で少数の富裕層を生み出し続けている。
戦争や革命の後も、ハイパーインフレイションが発生し,通貨切下が行われる。
世界の富の偏在は加速する一方だ。
富の完全な平等などありえないが、将来、富の偏在を是正する方向に舵を切る事ができなければ、人類は20世紀後半繰り広げて来た争いを地球、宇宙規模の環境破壊を含むステージで再び繰りひろげる事になりかねないだろう。
時間の経過とともに”価値を老化させる商品群”などに対して、価値を減じる機能を与えられていない現在の“老化しないお金”はビックバン以来140億年の歴史をもつ自然界“宇宙“とは激しい軋轢関係にある。
常に私たちの身の回りにある“老化しないお金”は、成住壊空の“宇宙“のリズム”とは明らかに矛盾する。それはたった数千年の時をかけて私たちの文明が作りあげたものだ。だとすれば、同じように年月をかけ、“お金”とそのシステムをより良い方向に変えることは私たちには可能だ。
私たちは今、“お金“とそのシステムを根源から問い直し始める時期にきているにちがいない。

この『The MONEY-Value of Silence』をMichael Ende(ミハエル・エンデ)に捧げる。

平野正樹





記 事

貨幣に宿る夢と絶望 平野正樹写真展
朝日新聞デジタル
2013年10月31日掲載
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