おんなのぼくしさん

エッセイ #3

HOME | essay | エッセイ #3

TEXT 飯名尚人

 

東九条けいこ場通り


 
仙台で開催される「踊らないダンスワークショップ2」の広報写真を撮影するために、京都へ。

今さんの稽古場に向かうとき、松尾芭蕉の句「夏草や兵どもが夢の跡」がいつも頭をよぎる。大通りから路地に入って、何度かこの句を繰り返しながらとぼとぼと進むと稽古場にたどり着く。
今さんの稽古場は、元は白虎社の稽古場であった。メンバーたちは共同生活もしていたので、この稽古場前の通りは、若い舞踏家たちが独特な風貌で出たり入ったり忙しなく春夏秋冬往来していただろう。白虎社は94年に解散し、若い舞踏家たちもこの場を去り、今さんが残った。周りはマンションが建って様変わりしてきたが、この通りには若い舞踏家たちの残像がまだ往来を続けているように感じる。

現れたのは、この通りに棲む今貂子とかつてこの通りを闊歩した白虎社の舞踏家たちの残像である。
名前の無いこの通りを勝手に「東九条けいこ場通り」にして、新しい舞踏写真シリーズが出来上がった。
 
(2023年2月)
 

 

 
「踊らないダンスワークショップ 踊らずに踊ったような気になってダンスと関係を持ってみる」
ワークショップ監修:飯名尚人
主催:仙台市青年文化センター(公益財団法人仙台市市民文化事業団)仙台市
共催:からだとメディア研究室(千葉里佳 伊藤み弥)