森を創るグレートマザー (英題:Create The Forest Great Mother)
監督 山崎 颯人


 
 

森を巡る映画祭

作画・作曲・編集
山崎颯人


土方巽の舞踏の一つの動きを見て、
僕の中に棲む怪物が動き始めた。

しかしその怪物は力を失い始める。
そして怪物に見えていたのは、
実は怪物じゃなかったと僕は気づく。

怪物は本来の姿を露わにし、
怪物自身の中に棲むもう1人の怪物のような何かを外に出した。

A single gesture of Tatsumi Hijikata's butoh stirred the monster that lies dormant inside me.

One day, the monster starts to wither, and I come to see — it was never truly a monster.

The monster unveiled its true form, releasing a second beast - one that had been lurking within.




作品解説

土方巽と大野一雄。舞踏を創った2 人。
母、というイメージは大野一雄の方がある。
僕はその事実を受け、深く考えた。
僕が初めに出会ったのは土方巽だった。
初めに写真で目にしたのが土方巽の方が少し先だっただけかもしれない。
僕は本や写真集で土方巽や大野一雄や麿赤兒などの舞踏家たちについて自分なりに勉強した。
授業でも学んだ。
しかし彼らのことがなぜか掴めない。
なぜかわからないんだ。
だから僕は赤ん坊が最初に目にした人を母と認識するのと同じように、
舞踏を知るものとしてはまだ赤ん坊の僕は
土方巽を母のように認識し、
子が母を見つめるように
土方巽の舞踏の一つの動きをじっと見つめた。
自分の中で何かが動き出すのをひたすら待った。
そしてそれは動いた。
最初は自分の中で動いた何かは、
怪物だと思った。
それを外に出して描いてみても、
やっぱり怪物が動いているようにしか見えない。
僕はもう一度土方巽の同じ一つの動きをじっと見つめた。
そして子が母を真似るように動いている
自分の中の怪物をもう一度外に出した。
するとその姿は完全に怪物だった。
僕は正直恐怖した。
土方巽の舞踏から目を逸らした。
もう見れなかった。
怖かった。
でも僕の中でずっとその怪物が
同じ動きを何度も何度も
ループするように繰り返し動いている。
しかし土方巽の舞踏を見なくなってから
僕の中の怪物の動きはどんどん力を
失っていった。
すると怪物は
怪物ではなかったことに気づく。
それは自分の産みの母とは違う
別の母の姿だった。
幼少期に僕を救ってくれた母のような人。
僕の中に棲み続けていたのは
その人だった。
しかし心温まるのも束の間、
怪物の正体に気づいた途端、
その人は、自分の意志に反するように
勝手に動き始めた。
そして彼女は彼女の中から何かを
外に出した。
それは次第に森の元型を形作る。
しまいには彼女の4 つの胸が森に覆われー
彼女の全身が森に覆われてしまう。
彼女は死んだのか?
はたまた生まれ変わったのか?
森を創るグレートマザー。
森を創ったグレートマザー。
僕は今あなたに逢いたい。

02.


PROFILE

監督 山崎 颯人

東京造形大学映画映像専攻3 年
アニメーション作家、木炭画家“動く美術”を目指して制作しています。

2022年3月
イタリアのmads gallery のグループ展にて
デジタルアートを3点展示(当時の作家名はMUMUMU)

2022年8月
村上隆インキュベーションのGEISAI#21 に出展
アクリルやクレパスで描いた絵画を9 点展示。(この時Bautogaに改名)

2023年4月
東京造形大学映画映像専攻入学
GEISAI#22 に出展 木炭画2 点を展示。

2023年5月〜10月
アニメーション研究会にてアニメ映画「この世で一番優しい黒」の制作進行を務める。

2024年1月
斉藤千寿監督の卒業制作『breakfast』に出演。

2024年5月
アニメーション研究会にて
中山竜監督に見せるためのアニメーションの怪獣デザインを担当。

2024年7月
五美大交流展第一回小作品展に出展。
デザインフェスタギャラリーにてアクリル絵画1 点を展示。

2024年10月
東京造形大学の学祭CS 祭にて
NF 造形支部というサカナクションサークルで木炭画4 点とアクリル絵画1 点を展示。

2024年9月〜11月
進級制作で五十嵐耕平監督指導の元初めて自分で映画と呼べるものを制作する。
『絶夢』というタイトルのセルフドキュメンタリー映画。

2024年11月
五美大交流展第二回小作品展に出展
銀座アポロ昭和館YOHAKU にて木炭画1 点を展示。
中島颯斗監督の進級制作『危急存亡の秋』に主演として出演。

2024年11月〜3月
春休みに合計4本の映画を撮り、完成。


2025年1月
五美大交流展メイン展に出展。木炭画1 点を展示。

2025年3月
五美大交流展第3回小作品展に出展。木炭画1 点を展示し、
アートインフルエンサーの平田なるみさんの紹介動画の表紙絵になる。
この展示のポスターもデザインした。

2025年5月
木炭画を動かすアニメーションの制作を本格的に開始。

03.


Dialogue

対談

吉川侑那(映像作家)
×
監督 山崎颯人
 


吉川侑那

2025年3月に東京造形大学 映画映像専攻を卒業。
大学在学中は、仕草や表情に着目した映像作りに取り組み、卒業制作では映像インスタレーションを制作。

現在はMVの制作部をやりながら、友人の映画制作に参加している。
また、冬に個展を開催することを目標に、自身の作品作りも再開する予定。


吉川さん:怪物の中から何かが出てくる、というのは共感できるかもしれません。
私は誰もいない部屋で一人で身体を動かし、それを自分で撮るということを
やっていたのですが、自分の内側から何かを出す感覚がその時にありました。
他の人の劇映画に出演させてもらう時は「吉川侑那」ではない、自分ではない存在として作品に現れているけれども、自主制作はやはり自分の中の感覚を身体表現として出しているという実感がありました。
 
山崎:僕は自分の身体で踊るのは少し抵抗があって、
絵だと割と自由に踊れるんです。そこまで自由ではないかもだけど、あまり抵抗がないんです。
 
吉川さん:山崎くんの描いてる絵は身体的な絵のように感じます。肉体、というか。
私もダンス映像を撮る時に肉体がいかに綺麗に映るかを見るのが好きで撮ってました。肉体のパーツや、陰影がかかってるところとかも。
 
山崎:吉川さんの作品の中で、体の関節がどうなってるかわからない部分があって、印象に残ってます。
 
吉川さん:私は今井琴美さんを撮らせてもらった時も、
カメラを通して見た時に体のパーツとか皮膚がいかに綺麗に映るかを1番大事にしていました。“デザインされた身体”を撮ってたのかもしれません。このことは今回改めて気づいた感触があります。
 
山崎:実は僕は土方巽に母のイメージを感じたんです。でも、大野一雄の方が母のイメージがあるということを知りました。
 
吉川さん:私は土方巽にどちらかというと“胎児になりきれなかった魂”を感じました。
 
山崎:なるほど。
もしかしたら僕は今胎児になりたいのかもしれません。
 
吉川さん:それはどうしてですか?
 
山崎:今までずっと欲張りに生きてきたんです。
周りには欲張りすぎだと忠告を受けていました。
最近やっとその忠告の意味に気づいたんです。
 
吉川さん:確かに欲張りになりすぎるのは注意ですね、、
 
山崎:吉川さんは死ぬまでにやりたいことリストって
作ったことありますか?
僕上京する前はたくさん書いてたのに、
上京して2 年半で半分に減っちゃって。
 
吉川さん:死ぬまでにやりたいことリストは作った記憶ないけど、大学生のうちにやりたいことリストとか夏休みの間やりたいことリストとか規模が小さめのなら作ったことあります。
 
山崎:小さめのリストいいですね。
今やりたいことが少なくなってしまったので、
小さいリスト作ってみたら何か見つかるかもしれません。