レムリアの庭
監督 渡邉 栄蓮


 
 

森を巡る映画祭

出演
姶良 日菜子
北原 夏香
 
撮影 
櫻井 進太郎
 
録音 
池田 奈都季
 
協力 
井上 千景
土屋 いずみ
堂脇 梨央
西田 紬紀
深澤 花鈴
前田 明人
宮本 光琉
 
脚本・編集・監督
渡邉 栄蓮

◯ あらすじ
森の奥深く、ふたりの少女が息づいている。
 
彼女たちは、森に仕え、命を紡ぐために生まれ落ちた存在。
声もなく、祈りのように静かに重ねられる日々。
 
けれど、いつかは訪れる別れのとき。
その先に、ひそかに芽吹く新たな命。
誰も立ち会うことのできない森の奥で、
見えぬ営みは、今日も確かに息づいている。
 
これは、いつの間にか始まり、いつの間にか終わる、
森の秘密の時間を描いた、幻想の物語。
 
 
 
◯ 作品解説
人間が暮らす世界とは、まるで別の時間が流れているかのように、森は、絶えず生まれ変わりを繰り返している。木々が立ち上がり、葉が生い茂り、花が咲き、やがて枯れてゆく。その森の営みの一瞬一瞬を、私たちは誰も、すべては見届けることができない。たとえカメラを置き、定点で捉えようとしても、その奥には、まだ人の目に触れない秘密の時間が流れている。森の奥深く。そこには、二人の存在がいる。彼女たちは、人間のように見えながらも、人間ではない。ただ森を守り、森に仕えるために生まれ、森の外に出ることは許されない。彼女たちは、静かに森を巡りながら、先代の森を守り続けた者たちの写真を根元や地面に並べる。やがて土を掘り、鮮やかな花を植え、その命を慈しむように水を注ぐ。それは、遠い過去から未来へと、絶えることのない命の連なりを祈る行為。しかし、森を守るその役目はいつか終わりを迎え、一人が消え、残された者が、その消失を受け継ぎ、また新たな芽吹きを迎える。森は、いつも「いつの間にか」そうなっている。人間が知り得ぬところで、森を護る者たちの営みが静かに重ねられてきたからだ。その秘密の営みの場は、まるで、古代に存在したと信じられながらも、誰もその誕生も滅びも見届けることができなかった幻の大陸、レムリアのようだ。確かに「ある」と信じられながらも、姿を現さない。


 
◯花
本作の中で、森を営むという行為の象徴的な存在。この花にまつわる「植える」「枯れる」が、森を守る存在たちの死生観を表す。私自身、花に特別な興味があったわけではないが、森を守る者たちの行為を、目に見える形で表すために、花というモチーフを選んだ。花は、一瞬だけ鮮やかに咲いて、やがて姿を消す。その儚さが、この映画の世界観に合うと思った。
 
◯芽
森を守る者としての力を失い、一人が亡くなった後、足元に小さな芽が生える。これは、森における「生」と「死」の循環。こうしてまた森は生まれていく。私にとって芽は「終わりのそばにすぐ新しい始まりが潜んでいる」という感覚の象徴でもある。
 
◯見えない営み
今、私は実家で暮らしていて、洗濯やご飯の用意を全部お母さんがしてくれる。気づくと洗濯物が畳まれていて、ご飯がテーブルに並んでいる。それは、私が見ていないところで誰かが動いてくれている、目に見えない営みだと思う。この映画で描きたかったのも、そういう「いつの間にか誰かが何かをしてくれている世界」のようなもの。森の奥で、誰も見ていないところで静かに続く営みを、あの家の台所や洗濯機の音と同じように感じている。

02.


PROFILE

監督 渡邉 栄蓮

2005年生まれ 埼玉県出身
東京造形大学 グラフィックデザイン専攻領域在学
https://www.instagram.com/watanabellen/
名前の無い感情に輪郭を与えるグラフィックデザインや映像表現を中心に制作を行っている。


03.


Dialogue

対談
 
武田 開智
×
監督 渡邉 栄蓮


武田 開智
東京造形大学 グラフィックデザイン専攻領域在学




渡邉:今回『レムリアの庭』を観て、どう思いました?
 
武田:初めて観た感想としては、まず全体的な雰囲気のトーンがさ、森の中で撮ってるっていうのもあって、命を感じつつも、生命が「ない」というか…
 
渡邉:おお、いいね。対談っぽい。
 
武田:(笑)無生命ってやつですね。
 
渡邉:そうそう、そんなイメージ。
 
武田:初めて映画監督してみて、難しかった事とか気づいた事ある?
 
渡邉:そうですね〜、脚本と監督と編集をやったんだけど、それだけじゃなくて物語にあったキャスティングとかも自分でやらなきゃいけなくて。…すごいなって思いました。
 
武田:え(笑)そこら辺の努力が作中の写真とかに反映されてるって事ね。
 
渡邉:それめっちゃ大変でした。
 
武田:そこを…「すごい」でまとめてしまった(笑)
 
渡邉:あ〜(笑)なんて言ったらいいかな〜…
 
武田:言語化するタイプじゃないもんね。雰囲気で伝えるタイプだもんね。
 
渡邉:そうなんだよ!ありがとう。
 
武田:栄蓮は、感性的に作品を作るタイプ。
 
渡邉:え、そうかな?
 
武田:右脳で作るタイプ。
 
渡邉:う、右脳?!
 
武田:なんか、栄蓮が脚本を書けるっていうのは意外ではある。
 
渡邉:だよね?(笑)向いてないと思ってたんだけど、意外と楽しかったよ。
 
武田:伏線(カメラで撮った写真が実際に使われるシーン)はどこで考えたの?
 
渡邉:あ〜、最初はカメラのシーンは入れない予定だったんだけど、やっぱり映画とかドラマとか、アニメもそうだけど「伏線回収」がある作品の方が私的には圧倒的に好みだし、何より観ていて気持ちが良いんだよね。『ファイト・クラブ』とか。だから、入れました!
 
武田:おお、いいね。カメラのシーンは絶対必要だったと思うよ。あれって死ぬ前の遺影みたいなものだもんね。カメラで撮ってた時にポーズとかも特に無かったけど、あれも遺影の伏線?
 
渡邉;そうだね〜。登場人物の2人は、特に感情を持たないような子達だからデフォルトであんな感じのイメージではあるよ。撮影の時は意識しないで撮っちゃtたけど。
 
武田:まあ、そこも含めて栄蓮の力だね(笑)
 
渡邉:ありがとう(笑)実は、撮影の時に近くのお家でBBQをやってる人たちがいて、音声にBBQの人たちの声とかが入っちゃって本当に大変だった…
 
武田:それこそ、森の中の営みだよね。外の喧騒の中で、静かに循環があるっていう…
 
渡邉:すご!(笑)本当に、なんでそんなに上手い言葉が出てくるの?
 
武田:(笑顔で会釈)