監督トーク

伊藤奈津 監督 × 猪野城司 監督 × 茅沼遥 監督 × 五藤京香 監督



 
 

森を巡る映画祭

導入


伊藤 「じゃあちょっと自己紹介からやっていきましょうか。
          改めてなんですけど、映画・映像専攻の3年の伊藤奈津です」
メンバー「お願いしまーす」
五藤 「アニメーション専攻の五藤京香です。2年生です。よろしくお願いします」
メンバー「お願いしまーす」
茅沼 「メディアデザイン専攻2年の茅沼遥です。よろしくお願いします」
メンバー「お願いしまーす」
猪野 「あの、メディアデザイン3年の、あっ間違えちゃった!
           メディアデザイン2年のね、猪野城司です」
茅沼 「はははっ」
メンバー「あれれっ(笑いながら)」
伊藤 「あっじゃあ。同じ?」
茅沼 「一応、学年は2年生です」
伊藤 「あれっ、歳は?」
茅沼 「私一年浪人しているんで」
伊藤 「じゃあ21の代、21の代、、」
茅沼 「はい。21です」
後藤 「今年20の代、自分現役なんで」
伊藤 「そっか」
猪野 「僕21っすね」
伊藤 「あっ、意外と21の代」
茅沼 「21の代ですね」
五藤 「私末っ子で、、、」
メンバー「笑笑笑」
伊藤 「末っ子でやらしていただいてって感じで笑だけど一番背が高い」
メンバー「笑笑笑」
茅沼 「身長よこせっ!身長よこせっ!」
五藤 「ひとり5センチずつくらい、、」
メンバー「笑笑笑」
 
 

映画祭プロジェクトを履修した理由


猪野 「僭越ながらね、、この、学生自治会室の責任者を務めさせていただいて」
伊藤 「いやすごいよね、本当に、自治会長。
    自治会長がね、映画祭プロジェクトとってるとは、思ってなかったよね」
猪野 「いや、なんかね、面白い人いっぱいいるのかなって思って」
伊藤 「あー笑 なんでみんな映画祭プロジェクトとったの?」
五藤 「面白そうだなって思って」
猪野 「そうね、みんななんかどれだけ斜に構えた作品出してくるんだろうって思って」
伊藤 「あー」
茅沼 「斜に構えた笑」
伊藤 「今回本格的な子多かったんじゃないかな。留学生の方多かったから、
    今年、特殊な気がする」
猪野 「なるほど」
茅沼 「みんなすごすぎて、ひえーって」
伊藤 「私は、なんか周りの子がとってて去年、面白そうだなって思って。
    なかなかないじゃん。こういうオンラインでみんなに見てもらえる機会って。
    地元の友達とか親戚に、今こういうのをやってるっていうのを見て欲しくて、」
猪野 「うん」
伊藤 「なかなか、うちの映画映像っていうか、映像系ではあるけど、特殊だと思わない?
    難しいというか、リアリティのある映画というか、実験的な映画というか」
猪野 「そうね」
伊藤 「商業的な映画とは全く真逆のジャンル?結構理解してもらえなくって、友達とかに」
茅沼 「あー」
伊藤 「今回、見てみてって言って見てもらったときに、意外と本格的なんだねって言ってもらったり」
メンバー「あー」
五藤 「自分もなんか、映画祭みたいな感じで見てもらうことって楽しそうだなって思って
    それでとったみたいな感じで」
伊藤 「あー」
茅沼 「うんうん」
五藤 「一回なんか、映画祭のプロジェクトからやるっていうのを勉強してみたくて」
伊藤 「あ、広報とか、マネージメントとか」
五藤 「そうそう」
 
 

それぞれの専攻について


伊藤 「ほかの専攻の授業に参加するって、結構勇気いらない?そんなことなかった?」
猪野 「あー。まあメディア専攻の子はとるからね」
伊藤 「あーそっか」
五藤 「アニメーション専攻でも映画祭ってあるんで」
伊藤 「あっ確かに!」
猪野 「メディア1年の頃、ドラマ撮影するんすよ。10分間の」
五藤 「えー」
伊藤 「えっ、メディア専攻、広いよね」
後藤 「いろいろ幅広くやるみたいな」
猪野 「もうなんか、画面に映るデザイン全般やるよね」
茅沼 「グラフィックも、映画映像系のものも、アニメーション的なものも全部やって、
    それを基礎に、webとかいろいろ作っていくみたいな」
伊藤 「え、いいね」
猪野 「クリエイター欲張りセットみたいな専攻」
茅沼 「でも中途半端で終わりがち笑」
伊藤 「確かに、専門ではないもんね」
茅沼 「自分達で学んだことを、自分達でどんどん広げていかないと」
猪野 「いろんなものに触れる機会ではあるよね。うちの専攻」
伊藤 「最初にいろんなものに触れて、自分の道を道を見つけて、どんどん深めてくって感じなんだね」
猪野 「就職も幅広いんじゃないかな」
伊藤 「そうだよね。アニメーション専攻は、、」
五藤 「アニメーション専攻はとにかく描いて、3Dとか、コマドリとか、とにかくいろんな課題を一気に   
    ばぁーって。意外と幅広くやってる感じは」
伊藤 「色んなアニメーションをって感じ?」
五藤 「アニメーション全般をって感じ」
メンバー「うんうんうん」
伊藤 「うちは、主に3つで。セリフがあって演者が出てっていう劇映画と、ドキュメンタリー、
    インスタレーション(身体表現・空間演出とか)の3つかな」
茅沼 「ビデオダンス演習Bみたいな」
伊藤 「そうそうそう!」
茅沼 「去年あれをとって、飯名先生の授業面白いなって今回とったんですよ」
伊藤 「面白いよね」
メンバー「うんうん」
 
 

<作品鑑賞>
 
猪野城司の作品について

 
猪野 「トップバッターでいいのかな」
伊藤 「いいよ、いいよいいよ。樹樹だっけ、タイトル」
猪野 「樹樹です」
伊藤 「バイト先なんだっけ」
猪野 「そうっすね。これが樹樹です」
伊藤 「樹樹ね。なんか働いてるところもピーんってきたんじゃない?テーマが森を巡るってなって」
猪野 「そうっすね。あれなんか、樹樹って森じゃんって。
    正直、私ってもともと、面白い作品を作りたいんすよ。表面的な面白さ。
    エンタメがすごい好きで、自分で作るなら絶対エンタメにしちゃうんですよ」
メンバー「うんうんうん」
猪野 「これも、表面的な面白さを入れた作品にしようと思ってたんですけど、
    やっぱ ”森を巡る” じゃないですかテーマが、”森を巡る”ってどういうことか考えたときに、
    あの、手入れされてない自然な感じ」
メンバー「うんうん」
猪野 「人が介入しない、ありのままのイメージを自分の作品でやるには、
            絶対エンタメじゃいけないなって考え直して」
伊藤 「へー」
五藤 「うんうん」
伊藤 「今回に関してはって感じかな?」
猪野 「そうっすね。今までの斜に構えた考えを全部取っ払って、手入れされてない、ありのままの映像を
    見せて困惑させてやろうっていう、魂胆なんすよ」
メンバー「おー」
伊藤 「あーじゃあ、混乱させてやろうっていうのは周りの人たちを?」
猪野 「そうそうそう。この映像を猪野が撮っているってこと自体が、作品の意義なのかなっていう」
伊藤 「あー。じゃあ周りの人達が見たら」    
猪野 「そうそう。お前こんなの撮るの?みたいな」
伊藤 「へー笑」
茅沼 「笑笑笑」
猪野 「絶対面白くしちゃうから。ただ意外となんか、一部にはウケてて面白いって。
    雰囲気がすごい良いらしくて」
メンバー「うんうんうん」
伊藤 「いやでも、画角というか、なんというか、映すものが」
五藤 「画面構成がめちゃいい」
伊藤 「うんうん、そうそう」
猪野 「やっぱ、そこら辺が私の隠しきれない面白さへのこだわりなんじゃないかっていうのを
    人から言われて、そこが出てるのが良いらしい」
伊藤 「うんうんうん」
五藤 「それで良いと思う。その、画面としての面白さ」
猪野 「取っ払おうとしちゃってるけど、ちょっと残ってる感じ」
伊藤 「うんうんうん。垣間見える感じ。このフィルターみたいのは?」
猪野 「フィルターは、スマホのアプリで課金したら使えるやつ」
メンバー「えー」
五藤 「わざわざ」
伊藤 「なんか、このフィルターにした意味とかって」
猪野 「こういうフィルターが好きなんすよね。VHSみたいな」
メンバー「あー」
五藤 「なんか、このフィルターがかかってることで、より画面に説得力が湧いてくるというか、
    より樹樹の雰囲気が」
伊藤 「うんうん」
五藤 「昔からある50年の歴史があるんだぞっていうのがいいなって思いましたね」
猪野 「よかったっす。ありがとうございます。
    なんか、暗転した時に森の音を入れてるんですよ、わざと」
メンバー「あー」
猪野 「暗転した時に、森を感じられるような」
伊藤 「あー。でも逆に、想像させるよね、音があるだけで。頭の中に森があるみたいな」
猪野 「そうそう、この映像を、一応森として見てる」
伊藤 「暗転してる時に音があるのとないのって全然違うよね」
茅野 「なんか目を閉じて音に集中するみたいのと、周りの自然に耳を傾けてるっていうのが感じられて
    良いですよね」
伊藤 「うんうんうん」
五藤 「瞬きみたいな感じが」
猪野 「そうっすね」         
 
 

喫茶店『樹樹』について

 
猪野 「なんか森の奥深くに佇む喫茶店、という感じで撮ろうかなって思ってたんすけど、
    それは、エンタメじゃないですか」
伊藤 「あーそうだね。フェイクではあるかな」
猪野 「そうなんすよね。樹樹を、そのお客さんの座るテーブルとかじゃなくて、自分の目線から見た樹樹
    をちょっとお店しようかなって。で、これ撮っても良いですかって店長らしき人に聞いて、
    『ああ、良いけどうちは高いよ』って言われて」
伊藤 「高いよ?」
猪野 「結構テレビとかで来るんすよ。いろんな番組の舞台として使われたりしたらしくて」
伊藤 「なんか樹樹って名前が」
五藤 「名前の雰囲気がすてきですよね」
猪野 「今年で50周年らしいっすよ」
茅沼 「あー」
伊藤 「代々受け継がれてる感じ」
猪野 「そうそう。たまに年配の方がいらっしゃって、『あー、このお店懐かしいね』ってずっと言ってるっ
    っていう」
メンバー「えー」
猪野 「で、もともとこのお店自体が広くて、平屋の広い敷地の中に印象的な美しい建物があって、
    屋根とかが斜めになってたり、庭なんですよ全部多分」
伊藤 「あー」
猪野 「木がいっぱい生えてて、色んな植物が生い茂ってて」
伊藤 「じゃあ外観がいいんだ」
猪野 「そう、外観がすごい良くて。昔は、街道とお店の間に鬱蒼と木が生い茂ってて、看板が全然目立た
    ない隠れ家みたいなお店だったんで、その雰囲気がすごい好きだったんすけど、最近枯葉が歩道に
    落ちちゃうからって理由で薄くなっちゃってて」
五藤 「あー」
猪野 「そういう、自然に溢れたお店ですね」
五藤 「雰囲気いいですね」
猪野 「よかったっす」
伊藤 「外観ってこれ映ってたっけ」
猪野 「外観ねー、撮ったんすけど入れなかったんすよね」
メンバー「あー」
伊藤 「どちらかというと中」
猪野 「そうっすね」
伊藤 「固定での撮影ってさ、時間の経過を感じられていいよね。しかもなんて言うんだろう、カフェって
    コーヒーのカップの音とか、氷のカランカランって音とか」
茅沼 「あー」
伊藤 「食器の音とかが音として聞こえるから、それがすごい心地良かったかな」
 
 

伊藤奈津の作品について

 
茅沼 「最初のショットの空気感がすごい好きなんですよね」
伊藤 「ここね。これね、面白くて、5月くらいに一回ロケハンに行ったのね」
猪野 「あーはい」
伊藤 「その時、丘に草がモサモサに生えてて、よし来週撮りに行こうって演者の子となったんだけど、
    次の週行ったら全部草が刈られてて」
メンバー「笑笑笑」
伊藤 「えーっ!てなって、ファーストショット、一番大事なところなのにーってなって。
    めちゃくちゃショックで。この場所を撮るためにロケ地を選んだような感じだったから」
猪野 「ははは」
伊藤 「その時はしょうがないから、刈られた状態で撮って。最終的に使った素材は、6月の30日とか
    ギリギリに撮ったやつなんだけど、生えてくれてて、草が、それで撮れたやつなんだよね」
五藤 「なんとか」
伊藤 「そう、本当になんとか、ありがとうって笑
    これ、おんなじ山なんだけど、ハイキングコースがあって、それで点々と撮ってるっていう」
猪野 「なるほど。他に人とかあんまりいなかったんですか」
伊藤 「他はあんまりいないんだよね」
猪野 「穴場なんだ」
茅沼 「へー」
伊藤 「地元の人というか、周辺の人たちが運動しにくるって感じかな」
茅沼 「あー」
五藤 「この、人のいない感じが、雰囲気が良いですよね」
猪野 「良い場所っすね」
伊藤 「でも、この山、街の中にある山で。音は違う場所の音を使ってて」
メンバー「あー」
伊藤 「本当の音ってもう、電車走ってるわ、新幹線走ってるわ、車も走ってるわでひどくって」
猪野 「いや、綺麗な場所だから違和感がないな」
 
 

世界観づくりについて

 
猪野 「この、腕のアクセサリーは、どこ由来のものなんですか」
伊藤 「1個は自分で作って、他のアクセサリーはお母さんが持ってて」
猪野 「へー」
伊藤 「こういうの持ってない?って聞いたら、たまたま持ってて」
猪野 「すごいな」
猪野 「主人公が集めてるものは、撮ってる時に、実際に落ちてたんですか」
伊藤 「そうだね。だから、この日限りのものなんだよね」
猪野 「選びながら撮ってたんですか」
伊藤 「そうそうそう。探して見つけたやつかな」
茅沼 「この白くぼんやりとした空気感ていうのは、フィルターとか使ってるんですか」
伊藤 「これね、飯名先生に借りたオールドレンズを使ってて」
五藤 「あー」
茅沼 「オールドレンズ」
伊藤 「そうそう。この神聖な雰囲気というか世界観を作りたくって」
茅沼 「夢の中というか、まどろんでいるような幻想的な雰囲気がすごくいい」
五藤 「白が目立つ感じ」
伊藤 「あーそうそうそう」
茅沼 「最初なんか、霧の中で撮ったのかなって」
伊藤 「あー違う違う笑」
猪野 「この主人公が踊ってる時の音っていうのは、何の音なんすか、カリンバみたいな」
伊藤 「あーそうそう!カリンバカリンバ
    同じ映画祭のプロジェクトとってた由良ちゃんに弾いてもらったやつ」
五藤 「あー生演奏」
伊藤 「そうそうそう。適当に誰かに弾いてもらったのでも良いんじゃないかってなって」
五藤 「カリンバってどう弾いても綺麗な音が出ますもんね」
伊藤 「そうそうそう。何かしらこういう音楽っていうか音を入れたくって」
猪野 「この音色すごいいいっすよね、作品に」
茅沼 「合います。落ち着きます」
伊藤 「そうだね、もう見てる人を眠らせるような笑」
メンバー「笑笑笑」
伊藤 「とことん心地良くしてやろうって思って」
五藤 「神秘的な雰囲気」
伊藤 「そうそう」
猪野 「この人の、心の揺れ動きみたいのがわかる気がして。モノ見つけた時も鳴ってましたもんね」
伊藤 「あー」
猪野 「あ、見つけたんだーって、それわかりやすいなって」
伊藤 「うんうんうん。よかった。
    私の撮影の日だいたい曇ってて、晴れの日がなくって」
猪野 「うん」
伊藤 「でもなんか、曇ってた方がこれはいいかなって感じがして」
猪野 「合ってますよね」
茅沼 「そうですね」
伊藤 「晴れてたらどうだったんだろうね」
茅沼 「青空だったらだいぶ違いますよね」
メンバー「うんうん」
猪野 「なんか引き入れられる空気感の魅力がありましたね」
伊藤 「そうだね、世界観づくりにはこだわったかも」
猪野 「いや世界観、ばっちり決まってましたよ」
伊藤 「ははは笑」
五藤 「演技がめっちゃいいですね、演者の方の」
伊藤 「いいよね、なかなかここまで友達にやってって言って出来る子いないからね」
猪野 「この作品一目見ただけで、不思議な雰囲気の人なんだなって思いましたね」
伊藤 「あー。この世界観で撮ろうって思った時に、この子しか浮かばなくって」
五藤 「ははは笑」    
 
 

五藤京香の作品について

 
五藤 「そもそも、大前提な話、本当は実写映像が撮りたくて」
伊藤 「あ、そうだったんだ!」
猪野 「あー」
五藤 「そうだったんですよ笑
    なんですけど、アニメーション専攻に入ってからアニメ以外の作り方がわからなくなって」
メンバー「あー」
五藤 「撮りには行ったんですよ、なんですけど、全然うまくいかなくって」
伊藤 「あー」
五藤 「これ、日芸の友達に頼んで、日芸まで撮りに行ったんですよ」
猪野 「はいはいはい」
五藤 「演技指導とかわからなくて、撮ったは撮ったけど、あんまり上手くいかなくって」
伊藤 「じゃあこの映像は、その時撮った実写映像を使って描いたんだ!」
五藤 「そう、なぞってやって」
猪野 「すごい、いいっすね」
五藤 「自分完璧主義なところがあって、こんな実写映像じゃだめだ!ってなって、
    この作品にはその癖が出てますね笑」
伊藤 「あー、だったらアニメを使ってって」
五藤 「ちゃんとしたやつをって、、」
猪野 「なるほど」
五藤 「私も普段こういう雰囲気の作品作らないので、どちらかというとエンタメ寄りの人間で、
    周りも五藤がこんな作品作るのかって」
伊藤 「そうなんだ笑」
五藤 「哲学みたいな」
伊藤 「違うジャンルの開拓みたいな」
五藤 「結果的にはなったかなって笑」
伊藤 「でもこれさ、もとの実写の映像使ってなかったらなんというか、こんな人間味を帯びた
    アニメーションになってないと思うんだよね」
猪野 「うんうん」
五藤 「ああ、そりゃそう。この作品独特の個人的な、内省的な説得力が見られたかなって」
メンバー「うんうん」
 
 

今回作品を作るにあたって

 
猪野 「なんか、尺も短いじゃないですか。短くしたんですか、あえて」
五藤 「アニメーションって、そんな長く作れなくって」
茅沼 「大変、ですよね」
伊藤 「そうだよね」
五藤 「本当に。実写で撮れればもっと、尺使って話とか凝って入れたかったんですけど」
猪野 「アニメーション専攻で他の課題もあるし」
茅野 「激務」
伊藤 「ほんとそうで、この課題やってる時に、自分の専攻でグループ制作してて、しかも監督だったんで、
    絵コンテとか書き直したり、キャラクターデザインをしたり、もうかまじいみたいになりながら」
茅野 「かまじい笑」
猪野 「すごい」
五藤 「もうそんな中で作ってたんで、わあーってなって、ちょっと短くなっちゃって」
猪野 「でも、いい感じにまとまってて、語りの内容も面白いし」
伊藤 「いや、ほんとにね、実写の映像を使ってるからこその人間味が。好きだよこの感じ。
    歯の感じとか!」
五藤 「この独特ななんか、絵に描き起こすことで、微妙な気持ち悪さが生まれるのも一応狙って
    ディティールを描いた感じですね」
伊藤 「うんうんうん」
猪野 「なんか、この世界に馴染めてないみたいな感じがしていいですね」
茅沼 「あと、中盤に出てきた、線と塗りが別々になるところ、あるじゃないですか、
    森ってなんなんだろうっていう」
伊藤 「うんうん」
茅沼 「なんかこう、思考が上手くついてきてないみたいな感じがして、その表現がすごくいいなって」
猪野 「すごくいいですよね」
五藤 「完全に意図してなかったんですけど、確かに言われてみればそうだなって思って。
    じゃあ、そういうことにしておこうって笑」
伊藤 「そう、作品って結構意味づけ大事じゃん。後からの意味づけ笑」
五藤 「後付け笑」
茅沼 「後付け笑」
伊藤 「全然いいんだよ」
五藤 「そういうもん笑」
猪野 「この映像のテーマにすごい合ってるし」
五藤 「この作品のテーマ結構自分でも好きで。上手くまとまったかな、良かったなって笑」
伊藤 「私は、もともと森とか、自然の中に行くのが好きだったけど、真逆だよね。
    森について何も知らなくて、今回知るみたいな感じだよね」
五藤 「そうですね。この作品を作るにあたって、改めてなんか森に入って、
    この森と感覚の近いものってなんだろうって考えた時に、都会に初めて入った時だって思って。
    その感覚を大事にしたいなって思って」
伊藤 「なるほどね」
茅沼 「最後の毒虫のシーンってなんか、切なく感じるんですよね
    毒があるのかもわからないけどみたいな。なんか結構人間ってそんな感じじゃないですか、
    あの人もしかして怖いかもしれないなってなっても、知っていくと意外とそんなでもなかった
    みたいな人結構いるじゃないですか」
五藤 「結構そういう意味も考えながら、森だけじゃなく、いろんなものに当てはめて、
    この作品考えてほしくて、そういうイメージでも、この作品作ったんで」
伊藤 「うんうんうん」
五藤 「上手くいかなかったけど、この線でどうにかしちゃうっていうのも自分の自我、、」
メンバー「笑笑笑」
五藤 「そういう部分も大事にして言った方がいいのかなと笑」
 
       

実写映画を作ることの難しさについて

 
伊藤 「他の専攻の人たちと映画祭をやる面白さってあるよね。全然みんなジャンル違うから」
五藤 「感覚の違いもある」
伊藤 「あーそうそう」
猪野 「うん」
五藤 「今回、実写って難しいなあって思いました笑」
伊藤 「あー、切り取った時間と時間をつなげるの大変だよね」
五藤 「そう。なんか周りの環境にめちゃくちゃ影響されるんで。さっきの曇りとか、雨降ってきたりとか
    日暮れちゃったりとか、アニメだったらそんなの関係ないんで、夜通しいつでも作業できるんで」
伊藤 「そうだね、外的影響受けやすいね笑」
五藤 「この、思い通りに行かないウズウズが笑。耐えきれない」
伊藤 「うんうんうん、確かにね」
五藤 「これ作ってる時ほんと映画・映像ってすごいなって思って笑」
伊藤 「あはは」
猪野 「すごいっすよ」
伊藤 「作品のこと考えつつ、周りにも指示しなきゃいけないから、すごいアンテナが張るんだよね」
五藤 「演者への指示とか、気遣いとかをしないといけないじゃないですか」
メンバー「うんうん」
五藤 「今回一人の友達以外は初めましての人だったんで、それだけでも撮影しんどくて笑」
伊藤 「うーん」
五藤 「それで、こう、上手くいかなくって。無理だな私って笑」
猪野 「もう極力指示とかしたくないですもんね、手伝ってくれてるのに」
伊藤・五藤「そう!」
茅沼 「自分一人でできるなら、自分一人の方が速いって思っちゃうけど、他の人がいると、表現の幅が広
    がるっていうのが、そこがグループ制作とか、集団でなんか作るって時の大変なところですよね」
伊藤 「うん。どっちでもそれ相応のメリットとデメリットがあるよね」
猪野 「自分がいればいいのにね」
五藤 「自分が10人くらいいたら笑」
伊藤 「そう!コピーがいてくれたらね」
茅沼 「みんな思うんですね、自分のコピーがいてくれたらって笑」
五藤 「叶わぬ願い笑」
茅沼 「今後の科学の進歩に期待してるということで笑」
メンバー「うんうん」
 
 

茅沼遥の作品について

 
茅沼 「この作品では、人間の格好をしてるんですけど、これは本当はカラスの話っていうふうに
    描いてます」
伊藤 「うんうんうん」
茅沼 「知人に協力してもらってるんですけど、自分もちょっと演技の指示をするのが苦手で、
    そこがちょっと、ここもっと上手く出来たよなとか、実際のカラスっぽい動きとかを
    入れられたらいいなって思ってたんですけど」
猪野 「あー」
茅沼 「ちょっとそこまで、演技の指導がいけなかったっていうのが心残りなところはありますね」
猪野 「なるほど」
茅沼 「自分もともとカラスとか、野鳥とかがすごい好きで高校生の時もなんか、総合的な学習の時間って
    いうのがあって、その時も野鳥の話を研究のテーマにしたりとかしてて、家族自身も山が好きで」
伊藤 「うんうんうん」
茅沼 「その影響もあってか、割と山とか森っていうのは馴染みの深い感じはしますね。
    自分の実家も徒歩5分のところに森があるんで笑何かと自然と触れ合う機会は多かったような
    気がしますね」
猪野 「後ろに流れてる環境音とかってどこかで録ったりしたんですか」
茅沼 「この森で、カットとは別で撮りましたね」
猪野 「すごい、いい感じですよね」
茅沼 「カラスっていうイメージをあまり崩したくなくって、人間の顔を一切映さない撮り方を
    しましたね」
伊藤 「チョコチップパンさ、最初なんなんだろうって思ったんだけど、最後にまた出てきた時に、
    ここに繋がるのかって思って」
茅沼 「そうですね、都会の象徴みたいな」
伊藤 「おー」
茅沼 「これはもうコンビニで買ったやつなんですけど笑」
五藤 「ビニール袋に包まれてて笑」
猪野 「チョコチップパンのチョイスがすごいいいですよね」
五藤 「絶妙に都会的というか」
伊藤 「そうそう!」
茅沼 「森には絶対ないものって言いますか」
伊藤 「しかも、落ちてそうなんだよね。まだ見たことはないけど、落ちててもおかしくない」
猪野 「申し訳ないけど、そういう雑さみたいなものが見えていいですよね」
 
 

カラスをモチーフにしたことについて

 
伊藤 「さっきなんか、カラスっぽい演技が出来なかったって言ってたけど、
    逆に、良さが出てた気がする。茅沼ちゃんは、自分で演じてるからカラスの動きがよく表現されて
    るけど、もう一人の子は、良い意味で無機質というか、あんまり感情を持っていないような
    歩き方をするじゃん、その対比が逆に良いなって思った」
五藤 「都会っぽさがちょっとある感じ」
伊藤 「そうそうそう。で、森に住んでる子の方は、ウキウキしてる感じがいいなって」
猪野 「なんか見てるだけで、森に住むカラスの気高さみたいのが感じられる動きっすよね」
茅沼 「森に入り浸っているというか、森にこもっているというか笑。
    結構カラスって、歩く時とかにウキウキしてる感じとか、人間の子供を見ているような感じが
    するんですよね」
伊藤 「あー」
茅沼 「結構トコトコも歩くし、ポインっていうふうに跳ねて移動したりして、人間の子供がアスレチック
    で遊んでるみたいな、そういう印象を受けたりするんで、そういうのを出したりできればいいなっ
    って思ってたんですけど」
伊藤 「うんうん」
茅沼 「難しかったですね笑」
五藤 「カラスって結構人間っぽい感じするんで」
茅沼 「カラス自体が、小学校低学年くらいの知能を持ってるっていう研究でわかってるらしくって、
    だから世間的にも、カラスって頭良いって言われてるじゃないですか。だからこう、人間が見て
    人間っぽいなって言う動きをするんじゃないかなって」
伊藤 「うんうんうん」
猪野 「あれでしたっけなんか、カラスを助けてあげると玄関先に光るものを置いて行ってくれる」
茅沼 「そう、プレゼントしてくれる」
五藤 「あー」
茅沼 「カラスって人間の顔を覚えたりするんで、カラスを攻撃すると目つけられるらしい笑」
伊藤 「えー笑」
五藤 「こわ笑」
猪野 「いや良いっすよね、カラス」
茅沼 「鳥が好きなので、ついつい大学内歩いてても鳥の鳴き声がするとガビチョウが鳴いてるなとか笑」
五藤 「すご!」
伊藤 「楽しそうだね笑」
茅沼 「そう言う意味では、造形大学に来て良かったなって思ったりしますね笑」
伊藤 「あー」
茅沼 「他の大学もいいなって思ったんですけど、一番森に近いのってここじゃないですか」
五藤 「そういうの詳しかったら、この大学面白そうですよね笑」
メンバー「笑笑笑」
伊藤 「最初、カラスとカラスを対話させるってどうするんだろうって思ってたけど、
    こういうやり方したんだって」
猪野 「しゃれてますよね」
伊藤 「うん。このセリフもいい、本当に」
茅沼 「ありがとうございます!」
五藤 「カラスがしゃべってること知らないけど、カラスってこういう喋り方するんだろうなって感じが」
伊藤 「そうそうそう。この都会から来てるカラスが、結局帰る選択をするまでのセリフがいいなって。
    時間に従ってた方が生きやすいみたいなのは、自分で思って描いたことなの?」
茅沼 「そうですね。なんかこう、時間がバラバラだとその時々で臨機応変に対応しなくちゃいけなくて
    そもそも日本が秩序的な社会なので、そういうところは自分の中にあるんだと思います」
伊藤 「あー」
茅沼 「森の中でのんびり暮らすのもいいけれども、やらなきゃいけないこともあるし、この日までに
    これをやらなきゃいけない、あの日までにあれをやらなきゃいけないってなった時に、
    でもそれから全部解放されたら、自分に何が残るんだろうって思って」
メンバー「うんうん」
茅沼 「何かに縛られている時間とか、人間関係とか、もちろん自由になって生きるっていうのも
    大事なことではあるけども、でもどこかで縛られていた方が逆に楽なんじゃないかっていう
    のを時々思ったりするんで、そこは込めましたね」
伊藤 「あー。すごい文章に目がいく構成だったから、伝わってきた感じがあったな」
 
                                        

02.


PROFILE

鈴木 将悟

2004年生まれ 栃木県出身
東京造形大学 映画・映像専攻領域在学
https://www.instagram.com/suzush0_3015/

主に映画、写真を制作している。
映像の中で視覚的に何が残せるのか、人物たちの心情と向き合って画面の中に何が映せるのかを探求中。
 
2022
『13秒の風景』16㎜フィルム・課題作品
『癖』ショートフィルム・課題作品
『FOCUS』ドキュメンタリー・課題作品
 
2023
『劣等』ショートフィルム・自主制作
「映画・映像専攻領域 有志展」グループ展示・上映会
『夢遊避行』脚本・課題作品
『広告A』『広告B』CM・学校祭広報
『心の在処』ドキュメンタリー・課題作品
『放浪する者たちへ』ショートフィルム・課題作品