喚呼
監督 LI JIAYI(リ カギ)


 
 

森を巡る映画祭

監督・出演・編集:LI JIAYI(リ カギ)
撮影:ZHONG YUNXIN(ショウ ウンキン)

この作品のインスピレーションは、私が初めて鋸山に行った時の感覚に由来しています。山よりも海が好きな私は、最初はあまり行きたくなかったけれど、友人の誘いで不本意ながら鋸山に行きました。登山の途中で、鋸山の独特な景色、切り開かれた山と至る所に見える仏像に出会いました。奥深くへ進むにつれて、鋸山からの呼びかけを感じ、その魅力に深く引き込まれたような共鳴を覚えました。管理人から鋸山の歴史を教えてもらいました。半分削られた山はまるでウィーンの断腕のビーナスのように独特の美しさを持っており、とても美しかったです。登山の途中で、またもや残欠の仏像を見て、かつて人々が参拝していた頃の姿が頭に浮かびました。「参拝されない仏はその力を失う」という伝説があるため、孤独感を抱きました。この経験を通じて、この作品の最初のアイデアが生まれました。
 
私の作品には、しばしば一人で二役を演じる設定があります。映像の特性を通じて肉眼では見えないが、精神的に感じ取れるものを表現しています。外見と内面、現実と想像を、映像を通じて一つの空間に融合させ、現実と幻想、理性と感情の衝突から生まれる火花を描いています。今回の作品でも、一人で二役を演じる設定があります。それは、鋸山を探る少女と鋸山の化身です。鋸山と共鳴を感じた少女は精神の世界に入り、鋸山の具象を見ます。言葉を無視し、身体で表現することで、鋸山の初めの繁栄から戦争と採石の傷害、そして現在の復興までの感情の流れを描いています。撮影中、山の中で踊る私に山からの力が伝わってくるような、無言の表現はまるで鋸山自身が私に感情を伝えているかのようでした。
 
私は身体映像を研究しており、ダンスが大好きです。ダンスは言葉を必要とせず、身体だけで感情を表現する方法です。言葉よりも人々に理解され、共感を呼び起こす力があると思っています。今回は自分でダンス部分をデザインし、自分で表現しました。動作のデザインには、鋸山が採石場として削られ、不完全な存在となったけれど、それが独特の美を成し遂げたことが含まれています。ダンスは鋸山の苦悩と、戦後の復興、山体に再び植物が生い茂り、生命力が溢れる様子を表現しています。また、人々に徐々に忘れられる中での孤独感も表現しています。
 
今回の撮影を通じて、自然からの力をより強く感じました。人間は自然に依存し、自然を変えていきます。しかし、変えられた自然は直接感情を表現できませんが、共感を通じ、それを感じ取ることができる人間に自分の感情を伝えることができます。そして、感じ取った私は映像を通じて多くの人にその感情を伝えたいと思っています。このような自然と人間の無形のつながりが、今回の作品撮影で最も感じたことです。この作品を通じて、より多くの人に鋸山を知ってもらい、その復興に貢献したいと願っています。

02.


PROFILE

LI JIAYI(リカギ)

東京造形大学大学院 デザイン研究領域 映像専攻2年
 
監督作品
「消えない私」(2022)
「猫になる」(2022)
「凝視」(2023)
「悪夢」(2023)