森を巡る映画祭
監督 出演
茅沼遥
出演
都甲ゆい
「いつまでこうしていられるかわからないけど
ここにいられる限り、私はここにいるつもり。
あなたにだってそういう場所はあるでしょ?」
この作品は2種類のカラスを擬人化して対話を行う劇映画である。
シジュウカラは単語を使って文章を作り会話をするという研究がある。カラスには人間の6歳から8歳の子供と同等の知能があるともされている。ならばカラスもカラス同士で会話をしているかもしれない。
カラスは何種類か存在する。人間の生活の近くに存在するハシブトガラスとハシボソガラスは生息地域が一般的には異なる。ハシブトガラスは都市部や森など立体構造のある場所で多く見られる。かつて森林で生息していたが市街地やビル群に進出するようになったという。ハシボソガラスは河川敷や田畑など開けた場所に生息している。
もし市街地に出てきたハシブトカラスが森に憧れを持ち、開けた場所にいるハシボソガラスが森に住み着いていたとしたら。その2羽が森について会話をすることになったら一体何を話すのだろうか。
私はこの2羽は自身の居場所について話すのではないかと考えた。鳥にとって生きる上で「テリトリー」は重要なものである。彼らにとっての「テリトリー」は安心して生存できる場所だ。安心できる場所は我々人間にとっても必要不可欠であるが、野生で生きる彼らにとっては重要度が違ってくる。だからその地域に生きる鳥たちは「テリトリー」を守り、奪うのだろう。森には食料もあり、天敵から身を隠す場所もある。何より森は市街地の喧騒から離れ、野生と直結する場所だ。野生で生きる彼らにとっては心が安らぐ場所だろう。
しかし人間にとって森には心を不安にさせることもある。もしかしたら市街地で育ち、森に慣れていないカラスもそう感じるかもしれない。それが森に対する無知が原因なのか、はたまた元いた空間から切り離されていることが原因なのか。私はこの作品の中で彼らにとってこの森が心が安らぐ場所になるのか、心を不安にさせる場所になるのかを物語として描き出したいと考えている。
アウトドアの趣味を持つ父と元林業職の母の間に生まれ、以前より野鳥に興味関心があった私にとって、森とは自身の「テリトリー」につながるものがあるのかもしれない。
作品制作の上で意識して制作した点は会話の間である。この作品ではセリフが全て字幕で表示されている。擬人化されたカラスがどのような声で会話をするのかがわからなかったからだ。しかし、字幕と字幕の間で会話や声色、話すスピードを表現できるのではないかと考えた。また、顔を全く映さず、黒い服装だけでキャラクターを表現することによって、演者の人間としてイメージよりも擬人化されたカラスとしてのイメージに近づけた。
02.
PROFILE
茅沼 遥
山梨県生まれ
2023年東京造形大学入学 メディアデザイン専攻在学
幾何形態を用いたモーショングラフィックスや簡易アニメーションを用いた映像作品、イラストレーションを中心に制作。
作品
『Now Loding』(2023)
線や幾何形態を用いたモーショングラフィックス
『ゴジュウカラ』『キクイタダキ』(2023)
幾何形態を用いた野鳥のイラストレーション
日本野鳥の会90周年記念 Tシャツデザインコンテストに出品
『鏡の中のミオソティス トレーラー映像』(2024)
現在着手しているテキストアドベンチャーゲームのシミュレーションを兼ねたプロモーションビデオ