幽谷響無死/YAMABIKO-MUSHI
監督 居塚 汐音(イヅカ シオン)


 
 

森を巡る映画祭

出演
飯⽥ 舞  伊藤奈津  ⼤渕るり  ⾨⼾照樹
鈴⽊将悟  原⽥⿓⼈  陸 宇豪  由良千咲
 
声の出演
LIANG CHONGWEN
 
撮影
居塚汐⾳ 坂本感太 宗吉海⾳
 
照明
坂本感太
 
中国語翻訳
陸 宇豪
 
制作
居塚汐⾳

《詩》
⽊霊は我らに囁きき
⽣⽣世世にあらまほしくば
⾍の知らせを待てと
⽊霊は常世の国の真⼈
⾍は動きあるものを慄き
静かなるものに懐く
化⼈の彼⽅
我めかまほしくば
⽊の如く気を窶し、欲を隠し給へ
軈て⾍は定めて化⼈と知らず
囁くことならむ
⾍の⽻⾳が⼼疾しならば
其は思ひ許したらねば
君⽅は⽊となり真⼈になり給へ
 
 
《作品解説》

(着想について)
制作を通して森の中に⼊った際、痒さが限界を超えその場を動けなるほどの蚊に刺された。
しかも森の中、痒さで動けず⽴ち⽌まっていると⾒えない⾍の⽻⾳が⽿元を触り怖かった。
今作はそんな⾍の不快感から着想を得た。
 
(作品のテーマについて)
私の制作は⼀貫して「⻑⽣き」をテーマにすることが多い。
それは私が単に⻑⽣きしたいということも根底にあるが、国や時代など⽂化や価値観が違っていても考えうるテーマだということに⾯⽩みを感じたからだ。
(時代が進み嗜好が増えても花⾒を楽しむようなもの)
 
(作品解説)
今作は⽣態系の内、最も「⻑⽣き」をしている樹⽊における”樹齢”を崇拝としている信者たちの礼拝様⼦である。
ここでは”森に棲む⾍たちが樹⽊に⻑寿の秘訣を伝えているから”という伝承から、”⾍は動きあるものを警戒し、静かなものに懐き秘訣を囁く”という教訓のもと樹齢崇拝をしている。
ただ無⼼で⽊になりきれば⾍も我々に懐き秘訣を教えてくれるというものである。
(⻑寿の秘訣をなぜ⾍が知っているのかというのは「⾍」と「無死」の⾔葉遊びから)

(今作で挑戦した表現)
今作を通して私は宗教に対する恐怖⼼の映像化に挑戦した。
それぞれが違うポーズで⽊になりきる様⼦を向かい合って確かめ合いながら没頭し蹌踉けると消える。
それぞれが⽊になりきっているためお互いが消えていくことに動じない違和感を表現した。
 
(今作のモデル)
今作で消えるたびに⼊るセリフを中国語にしたのは秦の始皇帝が「不⽼不死」を追い求めていたという伝承から中国でも「不⽼不死」という考え⽅が根強いことを⽰したかったからである。
作品解説で古⽂の詩にしたのは『⽵取物語』や『⼋百⽐丘尼伝説』など不⽼不死を扱った作品が残っていることから、昔からその思想について考えられていたことを⽰したかったためである。
今作は”樹齢崇拝”と題していることもありこれは樹⽊の”年輪”に焦点を当てている。
というのも”樹⽊”を崇拝する”樹⽊崇拝”は実際に存在しているためである。
ヨーロッパではイチジクの樹やメーポール、インドではバナナの⽊を崇拝しており⽇本でも樹⽊ではないが⽵から⼥性が⽣まれてくる『⽵取物語』も樹⽊崇拝におけるアニミズムの⼀つである。
クリスマスツリーもその系譜であり、北欧神話の宇宙樹イグドラシルなど樹⽊崇拝は⽇本のみならずいろんな国の神話に基づいた樹⽊崇拝が挙げられている。
今作はその系譜でありつつも特定の樹⽊ではなく樹⽊全体における”樹齢”に焦点を当てて崇拝している。

02.


PROFILE

居塚汐⾳

2003年 ⾹川県出⾝
東京造形⼤学 映画映像専攻領域在学
 
https://www.instagram.com/5_.x37/


《経歴》
2020
瀬⼾内デザイングランプリ2020 ウイズ⽥岡画材賞
2022
『いいな、⼈間って』16mmフィルム・課題作品
『想定外』ショートフィルム・課題作品
『彼は突然、教師を辞めた』ドキュメンタリー・課題作品
2023
『アクセサリー』 有志展出展作品
『ハルカカナタ』脚本・課題作品
『塚に居るもの』ドキュメンタリー・課題作品
『ホロタイプ』短編・課題作品
2024
『後ろ』ショートフィルム・課題作品
『アレルギー』脚本・⾃主制作作品
『ファミグル』脚本・⾃主制作作品