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(感情)と(環境)を巡る

変わる
北薗愛那



北薗 愛那

2002年 9月25日
神奈川県愛川町生まれ
八王子市立八王子学園高等学校卒
東京造形大学彫刻専攻在籍
幼少期に祖母の描いた絵を見て水彩画を始める。小学校6年で読書感想画最優秀賞に選ばれ美術を学べる高校に行くことを決意した。高校2年生の時に木彫の授業で初めて立体の作品を作り、彫刻に魅了され大学では彫刻を専攻した。様々な素材に触れ現在(2022)金工の作品を制作中。

作品解説

私の感情が無限にあることを知るには誰かがそこにいなければ分からない。結局1人では生きられないことを自覚ぜざるおえず、その無力感が私を振り回す。しかし、それでこそ人間なのではないだろうか。誰かによってそれまで成立していた「私」が崩れ、新しい私が時間と共に再構築されていき、やがて朽ちていく。きっと人はそう循環して生涯を生きるんだと私は思う。
 
大学入学後目まぐるしい日々の中で私を変化させる人々に出会った。それは今までの私に良くも悪くも影響し、最初は惑わされている感覚が大きかった。それまでの私を否定され相手の意見を強制的に押し付けられている感覚で日々を過ごした。ある時「人に期待してその通りではなかったときに出てくる感情は無意味。」と言われてショックを受けた。
私は誰かに何かしらの期待をして結果が出れば喜び、出なければ期待しなければよかったと、ちょっとの後悔や寂しさを味わう事を大事だと思っていた。感情の起伏がある方が人間的で日々を豊かにできると思っていたが、それを無意味と扱われ矯正させられていた。その間私は1日で何歳も歳をとったように衰えていき、表情が暗く、何もやる気が起きなかった。そんな自分に気づいたのはつい最近の事だ。彫刻を専攻する私からすればこの作品を作る事もまた一つ私に変化をもたらし新たな私を形成した。私が経験した事は私を作る土台になり体になる。変化したものは戻る事はない。むしろ変化を楽しむことを知る方がいいと私は思う。
 
この作品の中で私は私を巡り、誰かによって新しい私へ変化する。


対談

 
今坂からの感想メッセージ
様々な人と出会い、自分が変わっていく様を「だるま落とし」で表現している点が分かりやすく斬新だった。
実際に動画でも、だるま落としを様々な人が行うシーンがあり、その様々な人によって1つのだるま落としが完成していき、ぞのという人間が構築されている様が可視化できた気がした。
 
過去のモノが無くなり、同時に新しいモノを得る、その循環が上手く再現されていて良かった。
 
「人に期待することで生まれる嬉しみや悲しみなどは無意味だと知りショックを受けた」とあるが、動画を見て私は、また別に、様々な人により構築された自分に違和感を覚え、抵抗しているようにも見えた。
しかし1度崩されただるま落としはもう戻らない、そんな運命をどこか悲しみながら受け入れようとする儚くも現実味のある映像作品だなと思ったんご。
 

 
私「結構的当たってる感想でいいね笑」

今坂「本当?こんな感じでよかった?」

私「いや、めちゃくちゃ良いよ。」
 

 
私「感想で言ってくれてたけど、見てみてどうだった?」

今坂「あのね…何か良い意味なのか悪い意味なのかわからないけど、めっちゃ見やすかった笑」

私「あーなるほど」

今坂「見ててね、あんま気持ち悪くならないというか、自分すごい芸術やってる感性持ってる感じの表現してるやついるじゃん。」

私「何か回りくどい感じがね…」

今坂「そうそう。なんか正直に今自分が置かれてる状況を理解しながら作ってるんだろうなって思って、だから見てる方も分かりやすかったし、気持ちがよかったです笑」

私「あぁ、良いこと言うじゃん笑笑」
 

 
私「最初はもっと今坂が言ってたみたいに、くどい感じで遠回しに表現してみようとか色々考えてたんだけど、やっぱ映像を撮る技術が無かったり、予算のことなんて全然考えて無かったから、手短に簡単にできる内容で進めていったら割とEテレとか教育番組的なちょっとシュールで短時間でパッと見れるって言うそう言う動画で終わろうかなって。」

今坂「動画見て1番に見やすいなって言うのがあったかな」

私「それは嬉しいわ」

私「結構この動画の話って割と最近の話で、今年に入って自分の感情をコントロールしにくくなったって言うタイミングが一応あるんだよ。」

今坂「はいはい」

私「初めてバイトを掛け持ちして毎日寝て起きたらバイトの繰り返ししてたんだけど、どんどん私って言う人間が汚染されていくみたいになってたのね。」

今坂「へぇー」

私「それによって体にも異常が出て、結局掛け持ちしたバイトは辞めたし、続けてるバイトも1ヶ月間休んじゃって
なんかそんな時に重なってる物にパッと目が行って、その時ね、ミルクレープ食べてたんだよ。ミルクレープを一枚一枚剥がしながら食べてて、その時これミルクレープからしたら最悪な食べ方だろうなぁって思ってたのね。だって生地とクリームが層になってそれをフォークで上からブッ刺して食べるのがミルクレープからしたら当たり前でしょ?でも私はそれを無視してフォークに生地を一枚を挟んでミルクレープの常識を変えちゃったんだって言うことが謎に当時の自分の感情と重なって層になってる物に無性に興味が湧いたのよ。」

今坂「なるほどね。」

私「だるま落としも、昔ながらの遊びだけど実際だるまの体を落としていくわけじゃん。結構残酷じゃない?」

今坂「確かに笑」

私「なんかそれがマイナスなところから始まった層への関心のせいで、だるま落としと自分が重なったんだよね。」

今坂「へぇーなるほどね」

私「でも作中でマイナスなとこからプラスになっていくって言う感じを出そうとはしてるんだけど、まあ、受け入れなのか諦めなのかはまた曖昧なところではあるんだけど、それって見ててわかる?」

今坂「なんか全体的に顔が暗い感じだったじゃん。」

私「うんうん」

今坂「なんかずっとそんな感じだったからどっちかって言うと諦めに近いのかなって思っちゃってたけど、でも最後の方に線引いてある紙を破くシーンあったじゃん。それがなんか自分の中で違和感があるんだけど、とりあえず真ん中で切ってみよう。でもうまくいかない。でもトライしてる、って言うのがプラスにも捉えられるのかなって。」

私「あーじゃそのシーンが最後の方に来ててよかったって思う?」

今坂「思うね。」

私「結構悩んだところなんだけど、最終的に悲観的に終わるわけじゃないんだよね、プラスな諦めって感じ。」
今坂「あとさ、体の色が違うだるま同士が向かい合ってるシーンあったじゃん。そこでもプラスに捉えられるなって思った。」
 


私「はいはいはい。」

今坂「何か変わる前の自分と変わった自分が向き合って比較できるように並んでて最後に目を背けずに向き合おうとしててプラスに向かってる感じが良かった。」

私「まあ、最後ダルマの体が至近距離で落とされて顔だけが残るシーンで終わるじゃん?」

今坂「え?まじ?向かい合って終わってるよ?」

私「え?うそ。データー切れちゃってた?」

今坂「うん笑」

私「うわーごめん。でもとりあえずそう言うシーンで終わるのね。」

今坂「はいはい笑」

私「これは裏設定なんだけど、画面越しに私とだるまが向き合うって言う設定なの。ただ落とされて終わりって感じじゃなくて、過去であるだるまが変化した私を見て、私も過去であるだるまを見て終わるって言う意味深なことを最後してみた。」

今坂「なるほどね、いいね面白い。」
 

 
今坂「あとはダルマの体を入れ替えてたけど、積み重ねることもできたのかなぁーって。」

私「何段も積んでっただるまが私になるって言うこと?」

今坂「そうそう、でもやっぱ元の自分なんてわかんないじゃん。だって絵描き始めた理由とか俺覚えてないし。」

私「はははは笑笑」

今坂「なんかそう言う記憶の問題でもあるのかなって。」

私「なるほど記憶ね。記憶が原因で感情が揺さぶられてるのかもしれないね。」

今坂「まあこんな感じかな動画見た感じ。」

私「いや、結構嬉しいこと言ってくれたからよかった。」

今坂「いえいえいえ。」

私「まじで誰にも見せないで作ってたから全然客観視できてなかったんだけど、何にも見せてないのに伝えたかった事を的当てて言ってくれてたからよかったわ。」

今坂「うん、でも他の人に見せてもわかってくれると思うよ。」

私「ありがとう。」
 


 

今坂晃雅

多摩美術大学 工芸科在籍
 
私の高校からの友人。
私の高校生活を笑いで包んでくれた
面白い人です。
当時から細かいところにこだわる作品を制作しており、ペン画を得意としていました。
イラストコンテストでも入賞しており、
校内で毎年行われるデッサンコンクールにて、
3年時に1位を獲得。周りからの嫉妬の目に困惑していたこともありました。
現在多摩美術大学の工芸科にて奮闘中。左の写真もオープンキャンパスに向けて今年制作した
作品です。