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とおくてちかくて

 

アーティスト:ゆう

出演 妹(ゆか)
姉(ゆう)


撮影 /編集 /監督 ゆう

作品解説

 
妹の服がダサい。高校生にしていつもキュロット、時にはヨレているワッペンのトレーナーあまりにも幼稚なものが多い。
彼女に聞くと、着れて動きやすければなんでも良いと言う。
服が好きな私とは全然違う考え、価値観を持っているのかもしれない。
 
 
 
 
ただ、妹と私達を撮ります。
 
 


自己紹介

 


ゆう
生年月日: 2001年生まれ
私立東京造形大学造形学部デザイン学科映画映像専攻2年
 
服は好き。自分が好きだと思ったものを買うタイプ。よく衝動買いしている。今はユニセックス的な服が好き。一応体型は気にして合うものを極力着ようと思っている。が、好みの服があると気にせず買ってしまうこともある。後悔することもあるし、その服のために痩せようとかも特にしない。でも服は好き。
 

母との対話

~妹の服と、価値観について~ 

 
赤:母 青:ゆう
 
 
カーテンだけでも閉めれば? あぁ、そうか。シャアァッ おぉ… 結構違うのねカーテン閉めると。 …はい。よっこらせっ。 じゃあねー、ゆかの服についてどう思いますか?ゆかの服について …小学生。(苦笑い)やっぱり? うーん。変えて欲しいと思う?正直。変えるというか、興味を持って欲しい。興味がないよね服に。着ればいいってだけだよね。なんか、人って興味を持つところって人それぞれじゃ無い?なんか、どこらへんまで興味持って欲しい?せめて身なりに気を使うくらい。あー。人としておしゃれになれとは言わないけど、自分に何が似合って似合わなくて、人に害を与えないというのはどういうものなのか、TPOとはどういうものなのかを知って欲しい。人の最低限って感じ?最低限?なら着てればいいと思うけどね。あっ、そこはそうなんだ。そこは最低限だろ。裸族はやばいと思うけど。まぁ、捕まるからね。んー、なんか、それはさ、最低限興味持って欲しいって思うのはさ、ゆかの…例えばゆかは服に興味持たなくても困ってないじゃない。今のところ。自分自身としては。それでも持って欲しいなっていう理由は?勿体ないかな。今の時期にしか着れない服があるの。それを着ないで一生終わっちゃうんだろうなって。高校生は高校生しか着れない服がある。二十代には二十代にしか着れない服があるの。それを、服に目覚め、目覚めたっていうのもおかしいけど、まぁ、着ることにちょっと興味を持ってきた時に「あー、あの時こういう服着とけば良かったなぁ」って思っても、時は戻らない。それは…経験談?うん。だから、興味っていうのはその年その年の体験をした方がいいなって思う。ママも学生の頃は全然服に興味無かったの?いや?(食い気味)でも、ママはゆかみたいにぷっくりしてたの。だから我慢してたの。だからサイズで選んでたの。着れない服があったの。でも、あの時ダイエットしておけばあんな服も切れたなぁ。もっと服で遊べたなぁって思って。それは自分で勿体なかったなって思う。 

…じゃあうちは?何が?うちはうちで自分に制限を課してるじゃない。なんか。課してんの?まぁ課してるっていうか、あんまり女っぽい服着ないじゃない、最近。それは自分が、自分はそういうものがいいと思ってるんでしょ? それは別にいい。それは人それぞれ好きなものがあるからねぇ。…うん。好みで自分を制限してる分には良いけど、そもそも興味がない状態で自分に制限してるのは良くないってこと? 良いか悪いかっていう判断じゃなくて、もったいないってだけだよ。ゆかはそれを選んでるから別に悪いとは言わないよ。ただ、貴方の人生を考えたら今の時間は勿体ない。あくまでアドバイスに近いって感じ?うん…。出来ることを放棄してるその時間は勿体ない。それに比べて、ゆうは自分が良いと思って着てるわけでしょ?そしたら自分が歩んできた道は「別にあの時でもあれが良いと思ってきてたから」って、自分のことを振り返れるじゃん。ちゃんと理由があるから?うん。「興味を持ってない」とか「こうしなかった」とか。そういうのは後で後悔するんだよね。自分が切り捨てたものに関しては仕方ないと思うでしょ。自分がそう考えてそうしてたんだから。でも考えないもせずに時が過ぎちゃったっていうのは後悔に繋がるの。じゃあさ、服は(体型に合わせて)選んだ方がいいと思うし、痩せた方がいいと思う?いや、ぽっちゃりしてたって構わないよ。それなりの服っていっぱいあるから。ただ、ママの着たい服が痩せてた方が合うデザインが多かっただけ。自分がそれに対しての努力を怠ったから、今では着れないデザインがある。今この歳で着たら痛いおばちゃんになっちゃうしね。でも結構ママ若い人が着る服着てない?顔が若いからね。 あぁ……圧倒的自信。ええ。その自信はどこから…いや、(子供に)大学生がいるって言ったら驚かれるもん。まだ小中学生のお母さんだと思われるから。 ああ、そう…まぁ、出産が早かったからね、ママの代にしては。おぉ…。ママ二十代で産んでるでしょ?でもママの代三十代とかで産んでる人多いじゃん。結婚してからすぐに出産しないでしょ?三十代くらいで結婚したら35くらいで子供産むでしょ? でもママ、26くらいで子供産んでるからね。ゆうあと6年後には子供産んでるんだよ。…って考えると早いでしょ?  早いね。 ゆかは28で産んでるからね。二十代で出産終えてるの早いな。だから楽だったの。早いうちに出産しとくと、体力あるうちに子育て出来るから楽なの。それを、自分の遊びばっかり優先して、結婚を先延ばしにすると、体力って落ちるの。 うん。 三十代後半、四十代で子供と走り回ってごらん。大変だから。だから、本当はもっとこういう事してあげたかったっていうのが出来なくなっちゃうの。 それも、「後悔」? 私は後悔してないよ。ただ、周りを見てそうだなって思った。やっぱり行動が制限されるよね。そんで子供にも制限するでしょ? 私は制限しないで一緒に遊べたのが良かったなって思うけど。あー、成る程ね。(子供への)制限ってそこからも繋がるのか…。…まあ、それもね、考え方の違いだけどね。三、四十代になると財力が出て来るから。そういうのでで困らせないで生活できたって人もいるだろうし。どっちに重きを置くかわからないじゃん?何にしても、表と裏があって、良いことも悪いことも必ず、同じ数だけあるから。それを自分が「ああ、良かった」って思えるかどうかだよね。うん。  因みに、子供は産んだ方がいいと思う?うん。その子に対してどう接するかとかはやっぱり経験しないとわかんないでしょ。うん。じゃあ、最近結婚しない人が増えてるけど、その事についてはどう思う?あー。色んなことを経験した人生を自分が送った時に、「この人達は経験値が少なかったんだな」って思うんじゃない? その代わり、他の経験をするのかもしれないけどね。でもそれってお金では買えないし、代わりにやることも出来ないし…だって五十代、六十代とかになったらもう子供産めないからね。 うーん。 大変なことって、それだけ楽しい事でもあるから。 ほう。でもそれぞれ考え方が違うっていうならそれまでなんだけど…でも、「考え方が違う」っていうのに逃げてる人が多い気がする。 成る程。
 
…価値観の違う人たちとどう接していけば良いと思う?人って友達だろうが家族だろうが別の人間だから。 うん。だからどんなに近しい人でも、どんなに遠い人でも「自分とは違うものなんだ」っていう線引きをする。覚えておく。結婚しようが、長年の友達だろうが、全く同じ価値観なんて人はいない。でも、「許容できる範囲」っていうのはあるでしょ。その許容範囲が広げられる人になれたら良いと思うよ。うーん。例えば、自分の元々持ってる価値観が多数派の意見が分からない少数派だった場合、それはどうしてだと思う?多数派の意見が分からないとか、人の意見が分からないとかは情報網が足りないんだと思う。あとその人(達)のことを認めてないから。自分の意見を受け入れて、認めてもらいたいんだったら、自分も同じことをしなきゃ。でも、少数派とか関係ないと思う。同じ考えの人はいないんだから。全てが少人数で全てが大人数だよ。区分分けする必要ない。でも世の中変人みたいな人もいるじゃん。うーん。その価値観があまりにも世間に攻撃的だったり、世間にとってマイナスすぎるんだったら、ママは注意しようと思うけどね。危害を加えるとか。 成る程。公共の場とか世間とか気にし始めたのは何時ごろ?高校くらいかな。中学の時、ママすっごい性格キツかったから。あー、ね。…大親友ちゃんと大喧嘩したの。それ以来、卒業するまで一切話してない感じで。それまでは「自分が!自分が!!」って感じだった。けど、その喧嘩があって、高校になってから周りが見れるようになったの。その子と喧嘩した事は嫌だったけど、人生においては必要な経験だったと思う。ぶつかることは必要。その(出来事の)中で考えてやったかっていうのが大事?その都度考えるでしょ。笑  嫌なことからは逃げたいじゃん。人間って。でも、その時に相手のことを考えられるかどうか。自分が可愛くって、悲劇のヒロインぶっててもダメ。それによって、相手はどう思っているだろうか、自分がもしその立場だったらどうなのかを考えられれば良いんじゃない?もちろん、個性を潰せって分けじゃないけど。「大人」として? いや、大人としてっていうか…「人」として?  うん。
あ、因みに大親友ちゃんとは成人式に会って和解したけどね。あっ、そうなんだ。
 
 

プロフィール

 

私達姉妹の母。自分に合う服を見つけて着るタイプ。自分に合うならJILLSTUARTをも厭わない。衝動買いしていると思われがちだが、一度に買う服が多いだけだしその服に元々自分が持ってる服は合うのかなどを考えて買っているから実は衝動買いはしていないらしい。(本人談)
この作品のきっかけとなった妹の服への気持ちを指摘した人。