「わからない」を知りたくなって。
誰かと過ごす時間を記録した。
わたしのこと。
きみのこと。
それとも他の、誰かのこと。
何のことを?
わからない。そもそもわからないって何?
実家暮らしの2つ下の妹との
電話で今話す昔話。
妹「もしもし」
私「もしもし、久しぶり」
妹「ああーちょっと待ってて、まだ片付け終わってないから」
私「何の片付け?」
妹「モルモット(実家で飼ってる二匹)」
私「ふっtt」
妹「だからちょっと待ってて、終わったらかける」
私「はーい、じゃーねー」
妹「もしもし終わったよ」
私「おーお疲れ」
妹「ご飯食べてたら、こんな時間になっちまった」
私「ころたち(モルモット)の掃除なんでこんな遅いの?」
妹「帰ってきたのがそもそも10時半で、ご飯食べて、11時くらいになって、みたいな」
私「あれお母さんは?」
妹「ソファで寝てたよ」
私「掃除しなさいよお母さん…」
妹「まあ最近バイト帰りだとこの時間だから大丈夫よ」
私「そうなのね」
私「課題といったら、私がきょうかを撮ったデータが消えまして」
妹「え。やば」
私「だから私があんたと話したこと、全部忘れてしまった」
妹「何でぇーー。あ、また(撮影)?来週4日に帰ってくるんだっけ」
私「まあそうなんだけど。
映画祭の自分の作品にまつわる対談?的なのをウェブサイトにのせるのね、それを君にしよう
と思って電話した次第」
妹「あーそういうこと!…どうぞ」
私「せっかくなので、昔の話をしましょう。ていってもどんだけ昔のこと覚えてる?てだけなんだけど。きょうかが覚えてる、生まれてから一番古い記憶は何?」
妹「え?…いつだろ。幼稚園の年中くらいはある。」
私「年中!何があったの」
妹「なんかね。クラスが変わって。ゆき組じゃん確かあたし。」
私「うん、そうだったね」
妹「そんとき急激に身長が伸びたんだよね」
私「…!!!あ!そうじゃん年少のころ、あんたチビだったよ」
妹「うん、チビだったんだけど年中にかけてすっごい伸びて。で、それまでお母さんに自転車で家まで、後ろの子供が乗るところに乗せてってもらってたんだけど、坂登るときに『降りて歩いて』って言われるようになった」
私「(大笑い)」
妹「気がする」
私「よく覚えてんなそんな話」
妹「あたしそのとき結構ショックだった」
私「(大笑い)小さい頃は可愛かったな。ほっぺぷにぷにで癖っ毛でさ。
でも何でかどんどんでかくなって。今身長、160何センチだ?」
妹「162」
私「でか」
妹「もう止まっていいよ。でも、高2は163だったのに、高3で1センチきっちり縮んでさ。『もう一回測ってくれませんか』って頼んだわ。結局縮んでて、ちょっとショックだった」
私「(苦笑い)」
私「そういえば、きょうかは怪我しなかったね」
妹「そうね、怪我しないよねあたし」
私「関東大会の試合直前に、割れたガラスに足突っ込んで足出血したのとは別の話ね」
妹「あれは別。出血は多かった」
私「ん!?何があったっけ」
妹「覚えてる?頭もやったよ。あーでも、お姉ちゃんはもういないか。」
私「あれ?なんか…」
妹「中2の頃、1年生だけ試合できる機会があって。その会場準備でグラウンドにテニスコートを立ててたとき、地面に刺せるタイプと置くタイプのポールがあるじゃん」
私「あ、聞いたことあるぞ」
妹「させないやつだったことに気づかず、チェーン伸ばす時に床に安定してなくて、ポールがガーンっって倒れてきて、頭にぶっ刺さった」
私「うっわ…」
妹「漫画みたいに血出てきて」
私「あれ、頭って大丈夫だったんだっけ、縫った?」
妹「医療用ホチキスでとめたけど」
私「…うわあ」
妹「顧問の先生が準備後結婚式だからタキシードで。そんな先生の手を真っ赤にしてた。さすがにスーツは汚さなかったけど、やばかったわ」
私「思い出した。聞いたとき『え』ってなったな」
妹「あのあと2年はやることないから練習試合に行く予定で、1番手同士で試合したらしいんだけど、あたし当時1番手だったのに行けなくて2番手のペアが試合したらしいから、ペアの子に怒られたよね、試合したかったのにーーって。めっちゃ言われた」
私「気をつけてよ。流血沙汰多いもん」
妹「それな、本当に」
私「今だから笑える話だけど。最後の試合も何やってんのよ」
妹「あれはウケた」
私「ただあんた覚えてる?めっちゃ強気なこと言ったんだよ。
『高校で関東大会行けばいいじゃん』って」
妹「覚えてないな。言ったっけ?」
私「言ってたよ」
妹「まあ、実際関東にいける状況だったけど。
シードあるし、前の大会県で10番以内に入ってたし、よっぽどのことなけりゃ」
私「すげえな、あれでも何で」
妹「コロナで潰れたよね」
私「……そうじゃん」
私「だるいって言ってるけど。何で国際科にしたの?」
妹「え?就職で役立つかなーくらいよ」
私「そんなもんかい」
妹「でも結構外国には興味あるし普通に。異文化学ぶのは面白いし前々から知りたかったよ。あと、第二言語があったから」
私「フランス語だったよな確か」
妹「実際難しい。ちょっとだるい」
私「だるいのかい。何がむずいの」
妹「文法とか。知らん未知の単語出てくることが多い。まじで」
私「それは当たり前でしょうよ、違う言語だもん」
妹「笑」
妹「でもロシア語とか興味あるな」
私「発音むずくない?」
妹「多分やばい。あたし巻き舌できないんだよね」
私「あー私もできない。どうやってできるの」
妹「はは、知らん」
私「巻き舌とか…口笛はできる?」
妹「できるよ」
私「できんの!?やってみてよ」
妹「…♪(掠れた口笛の音)」
私「これできてなくない?」
妹「ちょっと待って!!…♪♪~」
私「できてるね」
妹「お姉ちゃんはできる?」
私「実はできない人間なのよそれが。……♩(凄く掠れた音)」
妹「いうてできてるんじゃない?」
私「できてねーわ!(スースーと掠れる口笛)」
妹「やば(けたけた笑う)」
私「私たち。こういう口笛みたいな些細なこと、多分知らなすぎだね」
妹「…うん」
答えを求めて、ひとりで湖へ行った。
飛鳥 2000年8月生まれ
神奈川県出身。
東京造形大学映画映像専攻3年
映画祭に掲載するのは初。
中学、高校は部活で勤しんで夢中なことがなかったが、
空想や映像は好きだった。
自分探しのため、美大へ入学。
歌詞や散文を日々noteに書いている。